Project 03

ラジオ放送局向けソフトウェア開発プロジェクト

モアソンジャパンの得意分野を駆使して
ラジオ放送業界で確かな地位を築く

日本全国で、24時間途切れることなくリスナーの耳を楽しませているラジオ放送。 その多くに、モアソンジャパンのソフトウェア技術が採用されているのをご存じだろうか。 今では当社を支える主要事業のひとつに成長した「ラジオ放送局向けソフトウェア開発プロジェクト」。 その躍進を支えたのは、当社を特徴づける「音の技術」と「現場主義」だった。

加藤 方道 開発本部 ブロードキャストディビジョン スタジオチーム チームマネジャー
北川 聡美、牧田 和樹、大畑 嵩(開発本部 ブロードキャストディビジョン)

日本のラジオ放送局に特化したシステムを

普段はあまり表に名前が出ることの少ないモアソンジャパンだが、ラジオ放送局の間では確かな知名度を誇っている。それを支えているのが、モアソンジャパンオリジナルのラジオ放送局向けシステムだ。
ラジオ局のスタジオでは、実に独特な機能が求められる。秒単位のスケジュールの中、膨大な楽曲ライブラリーの中から任意の曲や効果音をタイムリーに流すといった番組制作に必要な機能はもちろんのこと、曲の使用状況をウェブサイトに表示したり(Now On Air)、使用した曲を権利者に報告したりと、さまざまな関連業務が同時進行で発生するからだ。
 
ブロードキャストディビジョンのチームマネジャー 加藤は「私が入社した頃のことですが──」と前置きしながら、モアソンジャパンがラジオ放送局で高く評価されている理由を次のように語る。
当社がラジオ放送局向けの開発を始めた当時は、音声の再生や局が使用している機材を制御するアプリケーションなどを単体で開発していました。
その後実績を積み重ねていくうちにそれらを統合制御できないかという発想が生まれ、現在の「CLASS」を中心とするラジオ放送局向けシステムの基礎が固まっていきました。こうしてラジオ放送局に最適化した統合型の業務システムを構築できたことが、モアソンジャパンの大きなアドバンテージとなったのです
つまり、持ち前の「音」の技術で単体のアプリケーションを開発でき、さらにそれらを統合する基幹システムにも豊富な経験を持っているモアソンジャパンは、放送局側にしても待ち望んでいた存在だったといえるだろう。
 
当初は、放送業務に詳しい社員を中心に組織されたプロジェクトのひとつに過ぎなかった「ラジオ放送局向けソフトウェア開発プロジェクト」は、2016年にはブロードキャスト事業部として独立。現在では本部制に移行し、開発本部ブロードキャストディビジョンとして、「ラジオ放送局向けシステムのモアソンジャパン」は、北は北海道、南は沖縄に至る全国にその名を知られるようになったのである。

若手社員も加わり、進化は続く

現在、モアソンジャパンのラジオ放送局向けシステムは、「CLASS」と名付けられた音源管理用の複合システムを中心に、スタジオ用音声再生ソフト「CLASS-PAD」、ラジオ放送に特化した素材編集ソフト「PREBiEW」の3つのアプリケーションで構成されたパッケージ製品となっている。完成度も高く顧客からの反応も上々だが、もちろん進化は止まっていない。
若手スタッフのひとりで、お客様のご要望に合わせたブラッシュアップやカスタマイズを担当する北川は、システムの進化に終わりはないと言う。
放送局では、より面白い番組づくりのために、パーソナリティーをはじめさまざまなスタッフがさまざまな努力や工夫をしています。それを間近で見ていると、まだまだシステムにできることがあることに気付かされるんです
そんな北川の提案が、システムの改修に生かされたこともある。そのためブロードキャストディビジョンでは、プログラマーも含めて全員が現場に入るようにしているという。
 
現在、バックアップ再生機アプリケーションの開発が終盤に差し掛かっている大畑も、そんな現場経験に学んだひとりだ。
僕が取組んでいるバックアップ再生機アプリケーションは、従来ハードウェア再生機で行われてきたバックアップ再生をソフトウェアで実現しようというものです。再生機を物理的に用意する手間を省くだけでなく、オートメーション化することで作業効率の向上を図れます
ゼロからの開発だったが、先輩からの技術指導や社内の開発資産を使えたことで、プログラムは完成。現場で技術者に使ってもらったところそれまで気付かなかった改良点がいくつか見つかり、今は最後のブラッシュアップを行っているという。
On Air中のスタジオで行うヒアリングの緊張感にはまだ慣れませんが、見学した分だけ気付きもありますので、そんな機会を与えていただけることに感謝しています
そんな大畑が目標とする先輩のひとり、牧田は、システムの安定稼働を支える「システム監視ツール」の開発に取り組んでいる。SNMPと呼ばれるIPネットワークプロトコルを駆使して、メーカーの異なるサーバやストレージ、ネットワークといった構成機器の異常を監視するためのツールだ。牧田は、このツールの存在こそが、「CLASS」の成長の証と考えている。
24時間、休みなく動いているのがラジオ放送局です。絶対にシステムを止めてはいけないし、メンテナンスも容易ではありません。中でも「音を出す機能」は局にとっても生命線ですので、絶対に死守しなければならない。ソフトとハードの信頼性を交互に積み重ねながら、まさに石橋を叩いて渡る慎重さが求められます。そういった仕組みが必要になってきたというのは、それだけ「CLASS」が大きなシステムになってきたということです

夢は“本当の”全国制覇

ブロードキャストディビジョンは、モアソンジャパンの開発本部内の4ディビジョンの中ではまだ一番小さいユニットだ。しかし上記のように、放送業界でのモアソンジャパンの存在感を支える精鋭たちが集まっている。また、これまでユーザーはFM局中心だったが、2017年には初のAMキー局への導入が決まり、ディビジョンの戦略は新たな局面を迎えた。加藤たち最前線で活躍するスタッフの士気は高い。その想いを代表して、加藤はこう語る。
放送業界は、流行の最先端のコンテンツを配信している一方、絶対に電波を止められないという使命から、技術的にはかなり保守的な部分の多い業界です。信頼を勝ち得るためには、5年、10年という月日が当たり前のように費やされることもあります。そういった中で私たちが信頼を勝ち取ってきた実績を誇りにしつつ、より気を引き締めて、全ての都道府県の放送局に弊社のシステムを導入してもらうという目標達成を目指していきたいですね